チシマイチゴ

Rubus arcticus

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特徴

チシマイチゴ(キイチゴ属)は小低木の多年草植物で、樹高は10-25cmである。縁がギザギザした葉は三出複葉(1枚の葉が3つの葉に分かれたような形のこと)で緑色をしている。チシマイチゴは虫媒、自家受粉の両方である。赤、もしくは赤紫の花は個別につき、開花時期は6から7月にかけてである。果実は濃い赤色、緑がかったもの、茶色、または黒みがあるものがあり味と香りの良い石果である。実はしっかりとくっついている。

 

自生場所

チシマイチゴはフィンランド全国に自生しているが、一般的な自生範囲は中部のクオピオからケミにかけてである。小さい森や土壌の豊かな湿地帯、原野、水際、溝や小川また小道の脇、伐採された土地や畑の枕地や年数の経った牧草地などに自生する。以前は放牧や焼き畑などの影響はあまり見られなかったが、近年の機械による土地や森林の手入れにより自生場所が少なくなって来ている等の悪影響がある。

 

収穫時期

毎年の収穫量には大きな差が見られる。最も多く取れる範囲は南東からオウルに渡る細い地域である。同じ雌株から育った無性の成長物は、物によっては自殖可能ではないため実がならない可能性もある。開花と受粉が成功する為には十分な気温と湿度が必要である。チシマイチゴの収穫時期は7月中旬から9月初旬である。果実はへたがついたまま収穫する。

 

栄養価値

チシマイチゴのエラギタンニンの含有量はクラウドベリーやラズベリーといった他の石果ベリーに比べて最も多い。

 

利用方法

チシマイチゴは腐食しやすい果実なので、そのままでは保存することは出来ない。上質な味と香りのする果実であるため、北欧では最も上品なベリーと言われている。ベリーの香りがとても強い為、りんご、ラズベリー、すぐりの実などにスパイスとしても使われる。また採れたてのベリーをデザートや紅茶の味付けとしても使ったりする。一般的な保存方法としてはジュース、ジャムにしたり冷凍保存等がある。